補助金ありきで経営を考える危険性
行政書士として多くの中小企業の補助金申請をサポートしてきた中で、最近気になる傾向があります。それは、「補助金ありきで経営を考える」企業が増えているということです。
補助金は「手段」であって「目的」ではない
補助金は、本来「やりたいことがあるけど資金が足りない」という企業を後押しするための制度です。しかし、実際には以下のような本末転倒なケースをよく見かけます。
- 「補助金が出るから、この設備を導入しよう」
- 「補助金枠が余っているから、何か申請できないか」
- 「とりあえず補助金を取ってから、使い道を考えよう」
これらは全て、補助金が「目的」になってしまっている典型例です。
補助金ありきで考えることの3つの危険性
1. 自己負担を見落とす
例えば、補助率2/3の補助金で1,000万円の設備を導入する場合、補助金額は約667万円ですが、自己負担は333万円です。
「補助金が出るから安い」と考えがちですが、実際には300万円以上の現金が必要になります。この自己負担分を軽視すると、資金繰りが悪化する原因になります。
2. 本当に必要な投資かどうかの判断が甘くなる
補助金ありきで考えると、「補助金が出るなら導入しよう」という思考になりがちです。しかし、本来考えるべきは以下の点です。
- この投資は、補助金がなくてもやるべきか?
- この投資で、どれだけの売上・利益が見込めるか?
- 投資回収期間は何年か?
補助金の有無に関わらず、投資対効果が見合わない案件は、やるべきではありません。
3. 補助金の交付条件に縛られる
補助金には、交付後の報告義務や、一定期間の事業継続義務などの条件があります。
「補助金ありき」で始めた事業は、途中で方向転換したくなっても、補助金の条件に縛られて身動きが取れなくなることがあります。
本来あるべき補助金との向き合い方
補助金は、「やりたいことがある企業」を後押しする制度です。正しい向き合い方は以下の通りです。
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まず、自社の経営課題を明確にする
「売上を伸ばしたい」「生産性を上げたい」「新規事業を始めたい」など、明確な目的を持つ。 -
その課題を解決するための投資計画を立てる
補助金の有無に関わらず、投資対効果を計算し、実現可能性を検証する。 -
その投資に使える補助金があるか調べる
投資計画が固まった後で、それに適した補助金を探す。
この順番を守ることで、補助金は「経営を加速させる手段」として機能します。
まとめ
補助金は、正しく使えば経営を大きく前進させる強力なツールです。しかし、補助金ありきで考えると、かえって経営の足かせになることもあります。
「補助金があるから」ではなく、「やりたいことがあるから」という順番を忘れずに、補助金と向き合っていただきたいと思います。
当事務所では、補助金申請のサポートだけでなく、「本当にその投資が必要か」という経営視点でのアドバイスも行っています。補助金を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
行政書士せき法務事務所
代表:関 慧太郎
